家庭学習を成功させるための環境整備のポイント
現在、公立中学校の中学1年生の通塾率は58.7%であり、中学3年生に至っては79.8%が通塾しているという統計結果を目にしました。これらの数字は理解しやすいものだと思います。しかし、保護者の中には「学習塾で勉強しているから安心」とは考えていない人もいます。なぜなら、学習塾に通うだけでは成績は上がらないという認識が広まっており、家庭学習の重要性を認識しているからです。そこで今回は、家庭学習をしやすくするための環境整備とその理由について考えていきたいと思います。
環境整備が学習量につながる
まず、最も重要なのは学習を始めやすい環境を整えることです。学習を始めること自体が最初の壁となることがよくあります。一度勉強を始めると、意外と時間が経っていたという経験をしたことがあるかもしれません。掃除や片づけなど別の作業を始めた際にも同じことが言えます。これは「作業興奮効果」と呼ばれ、作業を始めることでモチベーションが高まり、脳が「作業を続けるように」と信号を出す現象です。最近では、「行動が先で、やる気は後から出るもの」と言われています。
①学習までの手間を最小限にする
『机を整理する』『筆記具を手の届きやすい場所に置く』といった方法論がありますが、ポイントは学習までの手間を極力減らすことです。机を片付けてから勉強する、シャーペンを探してから勉強する、明るさや温度を調整してから勉強するといった「〇〇してから勉強」という一手間は、行動のスタートを大きく妨げるものです。いつでも、すぐに勉強できる環境を整えることが重要です。この理由がわかると、どうすれば良いかが見えてくるのではないでしょうか。
②誘惑物までの手間は多くする
「作業興奮効果」によって脳が「作業を続けるように」という信号を出していても、スマホやマンガ、ゲームなどの誘惑物には負けることが多々あります。集中を継続するためには、スマホやゲーム、マンガを手の届かない場所にしまうことが重要です。部屋の外に置いたり、電源を切って引き出しにしまって鍵をかけたりするなど、誘惑物にアクセスするまでの手間を増やせば、誘惑に負けることを防ぐことができます。これは①とは逆のアプローチです。休憩中でも、スマホなどに触れると「作業興奮効果」が起きて、予定より長時間の休憩(=遊び)になってしまう可能性があるため、勉強が全て終わるまでは避けるべきです。
③落ち着いて集中できる環境をつくる
これも②と同じ理由から重要です。周囲が騒がしいと落ち着かず、集中することができません。テレビを消して保護者の方も一緒に読書や勉強する時間として共有できると最適です。保護者の方の協力は家庭学習において必要不可欠です。大変と感じる方もいるかもしれませんが、とても大切なことだと言えます。
コマ塾の取り組み
コマ塾のように毎日通い放題で先取り学習から宿題、学校ワークまで対応している塾は少ないです。コマ塾では、家庭学習が難しい生徒に対して、その分の学習内容も授業の一環として取り入れています。このような授業形式は自習とは異なり、強制力をもつ授業として扱われます。定額通い放題制度を導入しているからこそ、実現できる方法だといえます。毎週の授業時間が増えないように、家庭学習に頑張って取り組むようになる効果も期待できるようです。環境整備をしても家庭学習の改善が見られない場合は、コマ塾のような制度の学習塾を選択肢に入れても良いかもしれません。